イヤモールドの作成
出来上がったモールドを研磨し、製品にしていく作業です。

本店から入荷した何もされていないモールドを 〝クリスタル〝 と呼んでいます
(勝手に名づけただけで、本当の名称は不明です)
①カッティングラインの記入
最初にカットしていくのは外側です。カットするラインを設定し、油性マジックでラインを引きます。
※耳珠に対して、対耳輪~対耳珠のほうはクリスタルの厚みが大きくなるよう、ラインを引くと良いかもしれません
②ラインに沿って研磨ラインに沿って研磨開始です。
ここでは、ドリルはなるべく大きなものを使用します。


お勧めの順序は・・・
顔の前側、耳珠から → 対耳輪側 → 耳間切痕 の順にライン通りにカットすると良いです。
ここでクリスタルの厚みをかなり薄くしてしまうと修正が困難のため、思ったより厚みを
のこしてカットすることをお勧めします。
※ラインの跡は、残っていても構いません。後の工程で消えます。
③確認
前に作成済みのメス型に研磨したクリスタルをはめてみて、耳からはみ出ていないか等をチェックします。
見ながら、もう少し研磨したほうが良い箇所等を確認し、研磨微調整を行います。
④音道の確保
音道を開ける際には、音口(クリスタル先端)側か開けます。
※本来1.2~1.6mm径のドリルで開けていきますが、耳道が細い場合やカーブがきつい場合等、不安が
あるのであれば、1.0mm径のドリルを使用するとミスがおきる可能性を減らすことができます。
※開けにくい場合には、カナル部先端を平になるようカッティングしてから行うと安全で楽かもしれません。
※開ける際、ベントをどこに開けるのか、径をどれくらいにするのか検討した上で、先端の上部よりか
下部よりか、中央あたりか、音口の穴の場所を決めてください。
次に外側から音道を開けます。
先端から外にくまって「く」の字型にあけていきます。音道で道が折れ曲がる回数は1回のみとなりますので
どうあけたらよいか、イメージをしてから、穴を開けてください。
⑤ベントの開放
こちらは音道を開ける時と同じ要領ですが、開けたい径よりずっと径の小さなドリルでまずは開けます。
あとから希望するベント径と同じ径のドリルを使って再度穴を広げていきます。
並行ベントが取れない場合、段ベントぎみにするか、Yベントにするか、カナル先を短くしてベントを一つ小さい径にするか等、検討します。
⑥確認
工程③と同じように、メスに入れて確認をします。
カナル先の奥行(長すぎて危険ではないか、入れにくさはないか)
耳道に対して先端のゆるさ(先端にゆとりはあるか、装用するときに圧迫感が出過ぎないか)
⑦音道の仕上げ
ボールタイプのドリル2.0mm径を使って、通常のドリルであけた音道を広げていきます。
※通常ドリルで貫通させる時に方向などを修正したりしますが、その際にミス跡が残る場合があります。
この工程で、ボールタイプのドリルで消せるミス跡もありますので、ボールタイプで仕上げる前に
ミス跡の修正をするにはどのようにあけたらいいか考えてから仕上げてください。
⑧全体の研磨


サンドペーパーで全体を研磨します。
全体がうっすら(透明の部分がなくなるよう)白くなるように、研磨します。
※透明の部分は上塗り剤が付着しにくく、凸凹がでやすくなります。
そのためにサンドペーパーで研磨するだけです。
ついでに、カナルの先端や耳道より外の部分で、尖っている箇所も軽く削り滑らかになるよう仕上げます。
⑨ジョイントの取り付け

まずはジョイントを適度な長さにカット(差し込む方だけ)し
抜き差ししたり、メス型にいれて様子を見ます。
長さ等、確認して良さそうであれば、最初にジョイントのカットした方の
先端から1mm程度内側にニッパーかカッターで傷をつけます。
※接着剤の付着において有利になり、完成後)ョイントが外れにくくなります。
ジョイントは、取り付けた際に

「ヘリックスと平行の角度」で取り付けます。
※時に ハの字 につけたりもしますが、
基本は「平行に」。
選定した補聴器とフックにより、多少は
ハの字にしたりします。
※ジョイントをはめた際に、多少ゆるくてジョイントが抜けそうである場合には、差込する部分の先端 (ニッパーでカットした部分)を火であぶると少しジョイント先端に厚みがつきます。
ここまで確認できたら、接着剤をジョイント先端の傷をつけた箇所に塗りつけ、クリスタルに取り付けます。
上記の通り、ジョイントの角度には注意してください。
ジョイントを差し込に角度を合わせたら、クリスタルのジョイント差込穴とジョイントの接触部分にも接着剤を塗りつけます。
⑩コーティング
接着剤が乾燥したらコーティング開始です。
※コーティング前に、音道が接着剤でふさがっていないか、または音道に接着剤がはみ出しそれが乾燥していないか、を確認します。
接着剤が乾燥していない状態でコーティングをすると、コーティング剤
(上塗り剤・ラッカー)を痛めてしまいます。

ラッカーは思いのほか高い物品ですので注意が必要です。
ラッカーは満遍なく全体に塗りつけますが、同じ箇所に何度も塗って
いると、表面が凸凹になりますので注意してください。
音道はラッカーの筆を入れる、もしくは音口から1滴、ラッカーを流し込みます。音道にラッカーが塗れたら、
即座にティッシュを爪楊枝のように細くして、音道のラッカー(塗り過ぎた分)を拭き取ります。
※音道はラッカーが多く塗られすぎると、道を塞ぐ結果となるので、必ずティッシュで吸い取ります。
⑪仕上げ
⑫検品